• ステンレスとは

  • ステンレスとは、英語でstainless steelといい、錆びにくい鋼という意味です。
    成分的には鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金です。
    ステンレス鋼は耐食性以外にも耐熱性・加工性・強度など優れた特性を備えています。

  • ▼ 詳細
    ステンレス鋼は耐食性以外にも耐熱性・加工性・強度など優れた特性を備えています。ステンレスが錆びにくい仕組みですが、鉄にクロムを添加するとクロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜(不働態皮膜)を生成し、この不働態皮膜がサビの進行を防ぎます。また不働態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いものですが、強靭なもので、一度壊れても周囲に酸素があれば自動的に再生する機能を持っています。意匠性にも優れ、メンテナンスが容易であることも大きな特徴です。環境に対する社会の関心が高まる中、100%リサイクル可能な材料として高く評価され、大変注目されています。

    また、ステンレスは主にマルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系に分類され、それぞれのタイプで下記特徴が挙げられます。

    ●マルテンサイト系...代表的なものはSUS403、SUS410で、磁性があり、焼入れにより硬化します。反面、他のタイプと比較すると耐食性面で劣ります。

    ●フェライト系...代表的なものはSUS 430で、磁性があるものの、熱処理を行ってもほとんど硬化しません。マルテンサイト系ステンレスより耐食性が優れています。

    ●オーステナイト系...代表的なものはXM7、SUS304、SUS316で、磁性がほとんどなく、熱処理を行っても、ほとんど硬化しません。耐食性にとても優れています。
    ※加工硬化により磁性を帯びることがあります。

  • 不動態化・高耐食性処理について

  • 弊社、創業当時(1976年)、元々ステンレスは錆びないものとの認識が強いこともあり、処理名に関して「洗い」「油とり」というように、処理名をそのままの名称で呼ばれているのが一般的でした。そのようなこともあり、わかりやすい、より良いネーミングにすべく、"光輝くように洗浄する"という意味合いを込めて「ブライト」と名付け、その後、一般化されるようになりました。

    ステンレスの使用が一般化されるにつれ、高強度だが、そのままでは錆びやすいマルテンサイト系ステンレスが普及し始め、ステンレスには不動態化処理が必要という認識が高まり、別名、パシベーションを言いやすいようにとの思いで、「パシペート」と名付け、処理させていただくようになりました。こうしまして弊社では、『パシペート処理』は、マルテンサイト系ステンレスの不動態化処理そして、『ブライト処理』は、フェライト系並びにオーステナイト系ステンレスの不動態化処理というように使い分けすることとなりました。

    設備の自動化を図る際にも、不動態化処理を意識した工程を組み入れることにより、「ブライト」とご指示いただきましても、不動態化処理を含めた工程で、現在ご提供させていただけていることも、合わせてご紹介させていただきます。その後、SUS410のパシペート処理が一般化されるにつれ、より高耐食な表面処理を望む声が聞こえだし、1991年頃、SP処理を開発いたしました。研究開発を重ねた結果、熱処理前に前洗浄をする、保護被膜といえども油膜を塗布するなど、当時では考えられない発想で、マルテンサイト系ステンレスにおいては約20倍の高耐食化を実現しました。

    そして、2010年頃、ニッケル価格の高騰によりオーステナイト系ステンレスの価格も急騰し、フェライト系ステンレスが注目を浴びましたが、フェライト系ステンレス(主に430)は、従来のパシペート処理を行ってもオーステナイト系ステンレス(主にSUS304、XM-7)とは開きがあり、耐食性が問題視されました。そこで、よりハイレベルなスケール除去を重点に研究開発を重ね、クロム本来の働きを強固にし、耐食性の向上を実現することができました。そのフェライト系専用高耐食性表面処理のことを「ハイパーブライト」と名付けました。

    現在はSP処理を超える高耐食性をという声が高まっておりますので、その声に対応すべく、新しい高耐食性処理の研究開発を進めているところです。